玉ねぎのあれは目にしみる。

〝考え厨〟の頭の中のキロク。

私はスパイだ。母、妻、会社員の3種の変装をしながら日常社会に溶け込んでいる。

こんにちは、変装の名人urarieです。

 

ふふ。

ふざけている様で真剣です。

 

 

今日は、

 

・私が本部から与えられている長期ミッションについて

・日々の捜査活動について

・スパイとしての心得

 

この3点を報告したいと思う。

 

 

 

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1.私が本部から与えられている長期ミッションについて。

 

もう永らく日本にスパイとして滞在しているが、実は正確なミッション名は伝えられてない。

 

本部から指令としてから伝えられていることは1つだけ。

 

 

「幸せに生きてみろ」

 

 

これまで数々のミッションをこなしてきたが、こんなにも抽象的な指令は初めてだ。

 

 

 しかも、

 

何を食べてもいい。

どこで生活をしてもいい。

誰と付き合ってもいい。

家族を持ってもいい。

自由に働いてもいい。

訓練もしなくてもいい。

 

 

スパイである以上「普通の日常」を過ごす事は遠い昔に諦め腹を括ったが、これでは一般人と同じではないのか??

 

 

 

まぁ唯一スパイらしい活動といえば、

定期的に本部に現状報告のレポートを入れていることだろうか・・・。

 

 

 

何だ、これ。

 

 

 

こんなのスパイと言えるのか?

 

 

 

 

ついでにいうと、この長期ミッションでは制限が課せられている。

 

 

本部から救援物資を受け取れないというのだ。

 

 

敵に遭遇したとしても、武器やデータの支援は本部からなく、

 

ミッション達成に必要な物も自分で調達しろというのだ。

 

 

 

何だこれ。(再び)

 

 

 

「幸せに生きてみろ」って・・・何を果たせばいいんだろうか?どこがゴールなんだろうか?

 

 

 

ミッションを通達された際に唯一アドバイスされた事がある。

 

「変装の技術においては、君の右に出るエージェントは他にはいない。上手く活用したまえ。」

 

そんな風に伝えられているのだが・・・、これはどういう事だろうか?

 

 

 

こうして謎に満ちたミッションが始まった。

 

 

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2.日々の捜査活動について

◎実はこの世界はスパイだらけらしい

 

本部からのヒントともとれる「変装技術」について。

 

この技術を活かす事がミッション成功への近道なのか・・・?

 

 

しかし、潜入捜査を言い渡された訳でもないのに、何に変装したらいいのだ?

 

 

毎度本部の雑な指令には嫌気がさす。

 

 

 

だけど、長年のスパイとしての勘がこういっている。

 

今回のミッションを成功させる事が出来たら、スパイ業界が大きく変わるだろう。

 

 

 というのも、この世界には、物凄い数のスパイが実は存在しているらしい。

同業界の仲間達が、実はすぐ近くで日々活躍しているそうなのだ。

 

 

だけど、我々はスパイだ。

 

 

ミッション遂行に直接関係が無いのであれば、誰が仲間か、自分から打ち明ける事もないし、相手から打ち明けられることもない。

 

だから、誰がスパイかは分からない。

 

 

でも・・・、時にはこの不可解なミッションについて、愚痴を片手に同僚と酒でも酌み交わしたい気分の時だって、たまにはある。

 

 

 

・・・今のは忘れてくれ。

 

そんな気持ちもある中、具体的には日々どんな捜査活動を行っているか報告しよう。

 

 

◎「会社員」としての顔

 

まぁとりあえずは、本部からの救援物資や援助も受けられない訳だから、金がいる。何にしてもある程度まとまった金がまずいる。

 

それに、この長期ミッションは何年、いや何十年かかるかも現時点では分からない。安定して金が入ってくるサイクルを作った方が良さそうだ。

 

 

という事で、とりあえず得意の変装で「会社員」としてある会社に溶け込んでみる事にした。安定収入がまずはいるからな。

 

 

紆余曲折あり、いくつか会社を転々とする羽目になったが、今の潜入先ではそれなりに馴染んでおり、落ち着いてきた。

 

 

時々自分が「スパイ」なのか「本当の会社員」なのか分からなくなるくらい、この「会社員」としての顔は、今の生活に馴染んでいて、居心地も案外悪くない。

 

 

 

まぁでも「会社員」として上手く溶け込んでみたものの、『幸せに生きる』というミッションが達成されているかは謎だ。本部からの連絡も無いし、きっとまだ達成出来ていなさそうだ。

 

 

 

◎「妻」としての顔

 

そこで次は家族を持ってみる事にした。

 

 

スパイの自分としては、家族や恋人といった特定の親しい間柄をつくる事は本当は避けたいところだったが・・・そういう『幸せ』もこの世界にはあるらしい。それもかなり一般的な幸せの形の様だ。

 

スパイ業をしている私からすると、自由が何よりの『幸せ』だと思うのだが・・・。

まぁそれは一旦置いておく。

 

 

老若男女、何にでもなれる私にとって「妻」としての変装は難しくはないが、日常生活を縛られる分、心配はあった。

 

自由にスパイ活動をする事が出来なくなったら非常に困るからだ。

 

 

 

だけど、今のところ上手くいっている。

 

 

「夫」も、自由な活動時間を時々好み、束縛もされない。

家事という共通ミッションも上手く分業してこなしてくれる。その辺りの能力も「夫」はある様だ。共通ミッションのパートナーとしては悪くない。

 

 

生活スタイルや価値観が似ているところ、それに訓練を受けているのか?と思う様な技術もあり、もしや「夫」もスパイなのではないだろうか?と疑うくらいだ。

 

 

まぁ肝心のミッションの方だが、それでも本部からの連絡はない。

だが、それなりに『幸せ』を感じる瞬間も増えて来た様な気がする。

 

 

本部から伝えられた「変装技術を上手く活用しろ」というアドバイスは、もしかしたら、この社会で様々な顔を持てという事なのだろうか・・・??

 

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「母」としての顔

 

「会社員」と「妻」の変装を切り替えることぐらい私にとっては容易いもの。

とりあえずもう1つ新しい顔を持つか・・・。

 

どうやら社会では子供が産まれたら『幸せ』と呼ぶ様だ。

 

 

なので私も「親」になろうとした。

 

が、これはそう簡単ではなかった。

 

 

妊娠、というのはコントロールし辛いものだった。

精神力や体力、知力。そういった、訓練で磨ける能力が及ばない部分の話だからだ。

 

 

 

まぁそれでもこうして「親」という顔も今は持っている。

 

有難い事に今はジェンダーレスな時代だ。別に男女どちらが「母」の顔を持とうと自由に選択出来る。

 

そこで私は「母」の顔を持つ事にした。

「夫」と「私」の適性から、その方が最大限の効果が得られそうだと判断した。

 

 

しかしこれが想像以上に大変だ。

 

私にとっては3種の変装をこなすことぐらい訳ないはずだが・・・。

 

 

コントロール出来ない生き物。

スケジュールも簡単に乱れる。

理不尽さを感じる日々。

 

 

だけど、

 

不思議だ。

 

 

この生き物が “可愛い” のだ。

 

 

 

またしても自分が「スパイ」なのか「母」なのか、どっちが本当の自分なのか分からなくなりそうになった。

 

慌ただしい毎日に、単純に自分を見失いそうになっているだけなのか?

自分を見失いそうになるくらい『幸せ』という事なのか?

 

 

だけど、相変わらず本部からの連絡は、無い。

つまりここがゴールではない、という事だ。

 

 

◎そして「スパイ」という本来の顔

 

今は「スパイ」としての本来の活動をしながら、「母」「妻」「会社員」という3種の変装を毎日しつつ日常社会に溶け込んでいる。

 

だが、気付いたら変装モードでの活動時間が増えてきてしまっていて、「スパイ」としての義務や能力向上を怠っていた事に気付いた。

 

本来の自分を取り戻す為にも、今は「スパイ」らしくいれる時間も大切にしてみている。

 

 

 

こうして報告書を書いている時間もその内の1つだ。

スパイらしい、私らしい時間である。

 

もしや、これも『幸せ』なのか・・・?

 

いや、でも本部からの連絡は一向にない。つまり、まだ到達出来ていないのだろう、ミッション成功には。

 

 

 

まぁざっとこんなもんだ。日々の捜査活動は。

 

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3.スパイの心得

まぁ今のこのミッションは特殊ではあるが、私がスパイとして大事にしている事は1つだけだ。

 

それは、

自分の直感を信じる、という事。

 

 

これは何とも口では説明し難いのだが、自分のスパイとしての経験と勘は信頼する様にしている。

 

  • 今だ!と思ったタイミングで行動する。
  • 何だかしっくりこない・・・という違和感を無視しない。
  • 肌感覚が合わないと思った人や物、環境とは無理に付き合わず手放す。

 

まぁ大体これでいくつもの窮地を乗り越えてきた。

 

 

ミッション遂行に感情は不要だと嫌でも刷り込まれてきたが、これは感情ではない、第六感の様な感覚的なものだ。

 

 

今回の長期ミッションも、訳も分からないし、かなり謎ではあるが、

私の直感が「挑むべき」「必ず成功へ導きたい」と言っている。

 

 

出来ればコスパの良いミッションをこなしていきたいところではあるが、もうしばらくこの直感を信じて動いてみようかと思う。

 

 

取り急ぎ、現状はこんなところだ。

また報告する。

 

 

~ fin ~

 

※このお話は半分以上フィクションですが、稀に事実が混ざっている、かもしれません。